今回は社会人1年目の方に向けて『あなたの話はなぜ通じないのか』について書評したいと思います。所要時間は5分です。
こんなひとにオススメ
・周りの人に自分を分かってもらいたい
・相手と信頼関係を築きたい
・きちんと想いを伝えたい
どの業界においても役に立つ、円滑なコミュニケーションができるようになりたいひとにオススメできます。
著者紹介
山田ズーニー氏の経歴
岡山県生まれ。ベネッセコーポレーション入社後、進研ゼミ小論文編集長として高校生の「考える力・書く力」の育成に尽力する。以降、小論文の枠組に留まらない思考力、文章表現力、コミュニケーションの教育に取り組んでいる。
ウェブメディアでも著名なライターが書いたコミュニケーション技術本です。
目次
・第1章 コミュニケーションのゴールとは?
・第2章 人を「説得」する技術
・第3章 正論を言うとなぜ孤立するのか?
・第4章 共感の方法
・第5章 信頼の条件
第1章で自分なりのコミュニケーションの目的を明らかにし、第2章で「通じる」ための基本論理、それ以降の章では通じるために注意すべきことが書かれています。
【ポイント】想いを伝える本質は、論理と信頼だ
結論から言うと、著者は想いを通じさせるコミュニケーションで重要なことは、以下の5つだと述べている。
・自分のメディア力を上げる(①)
・相手にとっての意味を考える(②)
・自分が1番言いたいことをはっきりさせる(③)
・意見の理由を説明する(④)
・自分の根っこの想いにうそをつかない(⑤)
ひとことで言うと、「論理」と「信頼」だ。
メディア力とは、その発言をする人の信頼の程度だ。人は好きな人の話をよく聞き、嫌いな人の話は聞くのもイヤだ。「理屈はわかるけど、嫌だ」というのなら、通じたとは言えない。(とはいえ好きな人の話でさえ、自分に関係のない話はなかなか聞く耳を持てない。そのため、相手とっての意味も考える。)
また伝えるときに「けっきょく何がいいいの?」という疑問を産ませないために、想いをはっきりさせておく。そのうえで「想い」に至った理由を説明して納得してもらう。著者はこれらを「意見となぜ」というシンプルなふたつの要素で、論理立てられるとしている。
以上をまとめると、「なにを言うか」より「誰が言うか」がコミュニケーション上での本質的に重要な事柄だ。そのために、信頼を得ることが必須である。一方で信頼を得たとしても、的外れな話だと通じないため「論理」を丁寧に整える。
※ただ著者は「どう言うか」より「どんな気持ちで言うか」がさらに大切であると考える。ふだん環境に関心のない人が、テクニックを駆使して環境保護を訴えても人の心に響かない。根本の想いはにじみ出て分かってしまうので、想いにうそをつくのはいけないのだ。
【注意】正論を押しつけてないか?はじめに相手の想いありき
信頼関係を築いた上で、論理(意見となぜ)と持って話せば想いは伝わる。しかし論理を持って話していると、信頼を失うことがある。なぜだろうか。
それは論理が「暴力」になっているからだ。暴力になっている状態の論理が「正論」である。正論は、必ずしも人を動かすとは限らない。なぜなら、それが他者を支配する力を持つからだ。
というのも正論を伝えるとき、その話し手の目線は必ず聞き手よりも高くなってしまう。もし相手が「正しいこと」を知りたいと願っているわけではないのに、正論を伝えることは暴力になる。
そのため論理を伝えるときは「相手が望んでいるのか」を考える必要がある。望んでもいない相手に「意見となぜ」にしたがって正論を伝えると、相手の感情を害してしまう。そして関係性は悪化する。
通じ合うコミュニケーションは、はじめに「相手の想いありき」だ。
わたしが『あなたの話はなぜ通じないのか』から学んだこと
コミュニケーションにおいて、なにを言うかと同じくらい「どう言うか(論理となぜ)」が大切であることや、それ以上に「誰が言うか」が求められることは本質だと思った。
そのため論理と信頼に焦点を当て、徹底して磨き上げる。これは頭では分かっていても、実行するのは容易ではないからこそ、時間がかかるだろう。